むずむず脚症候群


九州から昨年、引越ししてきた84歳女性患者さんの例

始めは、変形性腰椎症による腰痛の治療で往診を始めました。

 

しかし、その後、不眠症、便秘、足の冷えとつり、むくみ肩の痛み、足に痛みがでてじっとしていられないといった症状が出てきました。


何度も救急車で病院に搬送されたが、いろいろな病院でいろいろな検査をしてもこれといって異常が見られなかった。


私も手をこまねいている訳もいかず、症状を一つ一つ解消していくことにした。


まず、腰痛は普通に治療して軽減した。


次に便秘症、1週間もでないこともある頑固な便秘だったが、おなかのマッサージとお灸で、2日に一度は出るようになった。


肩の痛みや足の冷えなども、鍼とマッサージで軽減できた。


今もなかなか症状が改善しないのが、不眠症と足に痛みがでてじっとしていられない症状だこの「不眠症と足に痛みがでてじっとしていられない症状」をむずむず脚症候群、または周期性四肢運動障害と思われる。


この症状も何とか軽減して患者さんを楽にしてあげたい。


「むずむずする」などの症状が脚に現れ、脚を動かさずにいられなくなる病気を「むずむず脚症候群」または「レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome, RLS)」ともいいます。
日本でのこの疾患の患者数は約200万~400万人ともいわれ、年齢層も幅広く見られます。年齢とともに患者数は増加し、男性よりも女性に多い傾向です。
むずむず脚症候群は命にかかわる病気ではありません。しかし脚の不快な症状が気になり、不眠症をひきおこす場合が多々あります。また不快な症状に悩んでうつ病になることもあります。日常生活に支障をきたし、生活の質(QOL)を下げます。

症状
代表的な症状は「脚のむずむず感」です。
横になったり、じっとした時に自覚症状を感じやすく、「熱い」「虫がはう」「電流が流れる」「痛い」の異様な感覚が、主に下肢に現れます。不快感は患者さんによってさまざまなです。不快感を抑えるために、常に脚を動かしたり、体をさすったりとじっとしていられません。
脚の内部におこるので、皮膚の表面におこる「かゆみ」とはちがいます。
じっとしているときに症状が出やすく、歩き回るなど脚を動かすと軽くなります。症状は昼よりも夕方や夜におこりやすく、進行すると日中でもおこります。むずむず脚症候群の人の半数は「周期性四肢運動障害」もあると思われます。周期性四肢運動障害は、本人の意思と関係なく、寝ているとき脚がピクッと動いたり、股関節の曲げ伸ばしを無意識にしる症状です。
むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は、寝ているときにおこるため、不快な症状を気にして眠れなくなると、不眠症をおこします。
睡眠不足になるので、日中に強い眠気におそわれたり、日中もむずむず脚症候群の症状が進み、「脚を切ってしまいたい」と思うほど不快な症状がおこるようになると、日常生活に影響が出ます。
うつ病になるケースもあります。むずむず脚症候群の診断基準
1.脚を動かしたい欲求が、脚の不快感が原因でおこる2.じっとしている状態でおこる3.脚を動かすと不快感が軽減する4.昼より夕方や夜におこる原因
むずむず脚症候群は「気のせいだ」と思われがちですが、そうではありません。むずむず脚症候群には、特定の原因がない「一次性」と、病気や薬などが原因の「二次性」があると考えられています。
発症するしくみはまだ解明されていませんが、「二次性」のむずむず脚症候群には、次のような問題が関係すると考えられています。
貧血や腎不全、心不全、関節リウマチ、パーキンソン病の人も、むずむず脚症候群を起こしやすいことが知られています。●ドパミンの機能障害
ドパミンという、体の動きに関係する神経伝達物質の機能が障害されるとおこりやすくなります。抗うつ剤などの薬が原因の場合もあります。
●鉄の不足
鉄はドパミンの働きに欠かせない物質です。「鉄欠乏性貧血」や重い「腎機能障害」などの病気や「妊娠」が原因で、体内の鉄が不足するとおこりやすくなります。
●体質
遺伝性があり、親に症状があるとその子どもにも発症する確率が高くなります。

鍼灸治療の効果
鍼灸治療は、副作用がなく体の自然治癒力を高める治療法です。
鍼灸治療をおこなうと体の血液の流れが良くなります。また脳内物質である、神経伝達物質のエンドルフィンやドパミンの分泌が促進されることが期待できます。体内のドパミンの量が増えれば、むずむず脚症候群の不快な症状は軽減すると思われます。
また、鍼灸治療は胃腸の働きを良くし消化吸収を促進し、健康な体になるための土台作りをします。胃腸の働きを良くすることで、鉄分の吸収率を上げ、食事やお薬の効き目も良くなります。薬の副作用で胃腸障害・便秘・下痢などが出ていても、鍼灸治療で症状を和らげることができます。
その他注意点
●睡眠薬は注意が必要
むずむず脚症候群からおこる不眠症の場合、睡眠薬を服用し最初は効果があっても、やがて効かなくなることが多いです。重症のむずむず脚症候群の患者さんには睡眠薬はほとんど効きません。また、睡眠薬の影響で意識がもうろうとした状態でむずむず脚症候群のつらい症状のために歩き回ったりすると、転倒しけがをする危険があります。
むずむず脚症候群があり、睡眠薬を使いたい場合は、担当医とよく相談しましょう。
●ほかの病気の治療薬が原因の場合
持病があり、その病気の治療薬が体内の鉄を不足させ、むずむず脚症候群の症状をおこしている場合があります。その病気の担当医とも相談し、薬の量を減らしたり、薬を変えてみましょう。
●妊娠が原因の場合
妊娠で体の鉄が不足し、むずむず脚症候群になっている場合は、多くは出産後に症状は治まります。
生活での工夫
むずむず脚症候群の初期や軽症の人であれば、生活上の工夫で症状が改善することもあります。
●カフェイン、飲酒、喫煙をひかえる
コーヒーなどにふくまれるカフェインやお酒・たばこは依存性が高く、睡眠の質を悪くします。コーヒー・お酒・たばこをひかえて、規則正しい生活を送りましょう。
●温かいお風呂や冷たいシャワーを利用する
皮膚への温度刺激は効果があると考えられています。暑い時期に冷たいシャワーをあてたり、寒い時期にお風呂でぬくもると、症状が和らぐ場合があります。季節によって温かいお風呂や冷たいシャワーを使い分けましょう。
●集中することを見つける
なにかに熱中しているときは症状に意識がいかず、症状が和らぎます。集中できる趣味などを見つけましょう。寝る前に軽くウォーキングやストレッチをすると症状は軽減します。